東北電力ネットワークは、東芝エネルギーシステムズと共同で、「変電所操作支援システム」の実証試験をスタートしたことを発表しました。ARを活用した新システムでは、スマートグラスを使って操作手順などを確認できます。
9月に「変電所操作支援システム」の実証試験を開始
9月15日より「変電所操作支援システム」の実証実験をスタートした、東北電力ネットワーク株式会社。共同開発を行ったのは、東芝エネルギーシステムズ株式会社で、同システムは、スマートグラスでQRコードを読み込むと、合成音声やARオブジェクトにより、操作手順を確認できるというものです。
スマートグラスで現地作業を2名から1名に
東北電力ネットワークによると、複雑な手順の変電所の機器操作には、現地作業に操作指示者と操作者の2名が必要でした。「変電所操作支援システム」があれば、スマートグラスにARを表示できるだけでなく、操作指示者と視界を共有できます。これにより、操作指示者は現地に足を運ばなくても操作者の作業を見守ることができ、現地作業員の削減につながります。
東北電力ネットワークのコメントは
同システムについて、東北電力ネットワークは、「遠方の事業所からでも、現地作業を確認できる」とコメントしました。災害などの非常時、緊急時には、迅速な作業対応が求められますが、人員の確保が難しいケースも少なくありません。ARを活用したシステムで、復旧にかかる時間の短縮も期待できます。スマートグラスは、作業員の視界のリアルタイムでの共有が可能で、指示者も操作内容にミスがないかを細かくチェックできるでしょう。
東北電力ネットワークは、新システムへの取り組みについて、「変電所の運転・保修業務の品質向上、効率化を図りたい」とし、さらに「社外の技術や知見を活用しながら、安定した電力供給に努めていく」と、今後についてもコメントしています。
安全で迅速な現地作業の実現に向けて
さまざまな現場作業に、ARを活用する事例は増加傾向にあります。今回ご紹介した東北電力ネットワークの「変電所操作支援システム」も、実証実験の結果から、現場に「生きる」よりよいシステムへと進歩することを期待したいですね。
ARをはじめとしたXR技術は、コストや作業員の負担を軽減しながら、より安全かつ迅速な作業を実現します。ライフラインとして欠かせない電力の供給に貢献するシステムの動向を、今後も追っていきましょう。