仮想空間を用いたバーチャルホスピタルなど、メタバース分野で注目を集める岡山大学は、新たにLGBTの子どもや若者たちのための交流システムの構築を発表しました。新たなプロジェクトは、悩める若者たちの支援の場となるのでしょうか。
学校・家庭での悩みを抱えるLGBTの若者たち
LGBTに関する問題は、国内、そして世界でも近年問題視されています。自身のセクシャリティについてカミングアウトできる人がいる一方で、性のあり方に違和感があるものの、偏見や差別などを恐れ、学校や家庭でその悩みをなかなか打ち明けられない、という若者も少なくありません。
LGBTユースが2022年に調査した結果では、全体の91.6%が保護者にさえカミングアウトができないと回答しており、48%がLGBTの悩みから自死を考えたことがあることがわかっています。
岡山大学が交流プロジェクトを始動
LGBTの問題は非常に深刻で、対応に緊急性が求められます。しかし、カミングアウトできない人の支援は簡単なものではありません。
岡山大学の長谷井嬢准教授は、メタバースでLGBTユースを支援するための取り組みを行っています。その結果、メタバースでのLGBTユース同士の交流プロジェクトが始動することになりました。本プロジェクトには、一般社団法人「にじーず」も協力しています。
メタバースが若者たちの支援の場に?
LGBTをカミングアウトできない孤独感を抱えた若者たちは、本プロジェクトにより、メタバースでのアバターを用いたカミングアウトや相談が可能となります。匿名性を保ったまま、自由な意見交換ができるメタバースは、悩める多くの子ども・若者たちに「居場所」を提供し、孤独感の解消につながることが期待されます。
メタバースの新たな可能性に期待!
不登校やひきこもりなど、周囲とのコミュニケーションが難しく、孤独感を持った人に向けたメタバースでの「居場所」提供など、メタバースの活用の幅はさらに広がっています。今回ご紹介した、岡山大学のLGBTの子ども・若者を対象としたメタバースの取り組みも、同じ悩みを抱える人同士のコミュニケーション、セクシャリティへの悩みや相談などで、苦しみから抜け出す糸口をつかむきっかけになるのではないでしょうか。
最先端の遊びや学びを提供してくれるメタバースは、心のケアにもつながる可能性があります。交流プロジェクトの導入がどのような効果をもたらすのかにも、注目しましょう。