建築業界でのバーチャル技術の活用に注目が集まるなか、大和ハウス工業が、3Dシミュレーションを用いたセミオーダー型新築住宅プランを開始しました。顧客満足度向上に、バーチャル技術はどのように貢献するのでしょうか。
2020年よりVRを導入している大和ハウス工業
2020年2月より、VRモデルルームを導入している大和ハウス工業。一部分譲マンションを対象に、「メタバース住宅展示場:skye」を公開し、2023年4月には同社の「プレミスト」というマンションブランドで、新築分譲マンションすべてに3Dモデルルームを導入しました。
現在も、積極的なバーチャル技術の活用で注目を浴びている大和ハウス工業では、今後、ウォークスルーデータを生成し、3D空間を自由に移動できるようにしていくとのこと。全プランに同サービスを導入し、理想の家づくりをより楽しく、そして確実なものにしていきます。
注文住宅購入者向けのアンケートを実施
同社は2023年10月、「注文住宅の満足度」についての調査結果を発表しました。およそ1,000名を対象とした調査によると、全体の39.3%が注文した住宅に「後悔している点がある」と回答しています。後悔した点でもっとも多かったのは収納スペースで、次いでコンセントの数や位置などの「配線」関係、さらに使い勝手と続きます。
収納や配線、実際の使用感などは、購入前に明確なイメージが難しい場合もあります。大和ハウス工業はこの結果を得て、「イメージがつきにくいポイントに、後悔してしまう傾向がある」と分析しました。
回答者のなかで、間取りを考える際に、3Dシミュレーション(VR)を用いたのは、全体の34.4%。この数字は、「パース」という従来の外観・内観の完成予想図の利用率とほぼ同じで、バーチャル技術を住宅購入の際に活用する人が増加していることがわかるでしょう。
課題解決にVRが有効?
自社の調査結果から、大和ハウス工業は「住宅購入後の後悔」の解消に、3Dシミュレーションが有効だと結論づけました。立体的な3Dシミュレーションなら、イメージがより具体的になります。気になる部分を再検討しやすく、購入前の改善が可能となり、住宅が完成してからの「こんなはずではなかった」という後悔が軽減するのではないでしょうか。
今後はパースに取って代わり、3Dシミュレーションを使った間取りの検討が増えていくことが予想されます。納得のいく住まいづくりに、今後もVRが活用されることを期待したいですね。
バーチャル技術で、理想の住宅の実現増加へ
大きな買い物は、できるだけ後悔したくないと考える人は少なくありません。バーチャル技術は完成後の「ミスマッチ」を軽減し、長く、快適に住み続けられる住宅購入に貢献するものだといえます。これから住宅購入を検討する人は、ぜひ3Dシミュレーションも活用してください。