世界各地でのメタバースやXRの活用についてご紹介してきましたが、最後に注目するのは製造業界でのメタバース事例です。BMWやベンツなど、私たちがよく知るメーカーでは、最新の技術がどのように導入されているのでしょうか。
海外のメタバース活用|NVIDIA
大手半導体メーカーNVIDIAの「NVIDIA Omniverse」には、これまでご紹介した企業のなかでも、導入事例が複数ありました。これは、業務効率化に向けたメタバースを構築するためのプラットフォームで、企業向けのツールです。機能は大きく「3Dデザインのコラボ空間の利用」と「デジタルツインの構築・シミュレーション」の2つです。各企業は「NVIDIA Omniverse」を使うことで、企画や設計・製造・配送・アフターフォローなど、幅広いバリューチェーンの効率化を目指せます。
BMW
BMWは2022年に、世界各地にある自動車工場を3Dスキャンして、デジタルデータ化することを発表しました。この取り組みは、工場の生産ラインへのデジタルツイン活用の第一歩で、成功すれば生産効率の向上につながります。 数年にわたる取り組みのなか、「NVIDIA Omniverse」を用いて作成されたBMWの「バーチャル工場」は、2023年3月現在、600万m2以上に拡大しています。
ベンツ
ベンツでは、自社のトレーニングセンターに100台以上のHololensを導入し、研修に活用しています。トレーニングセンターでは、修理作業員が技術を取得したり、販売員が新車の特徴を理解したりするために、さまざまなトレーニングが行われますが、HololensでMR教育コンテンツを学ぶことで、学習効率の向上やコスト削減が可能です。同コンテンツは、車両の内部構造を3Dで確認できるので、複雑な構造も理解しやすくなっています。
テスラ
アメリカ・テキサス州に本社を置く自動車メーカー「テスラ」では、販売する車両にデジタルツインを活用したシステムを標準搭載しています。搭載されたセンサーにより、各車両の状態や走行状況、周辺環境などのデータが収集され、最適な走行方法に合ったソフトウェアが自動でアップデートされる仕組みです。同システムにより、店舗での車両診断の時間を確保する必要がなくなり、企業も消費者もコスト削減を実現できます。
今後のメタバース活用にも注目!
5回にわたり、世界のさまざまな業界で活用されるメタバースやXRの活用事例をご紹介しました。バーチャルの世界は「楽しむ」だけでなく、幅広い業界において、日々の業務効率化に役立っています。拡大の一途をたどっているメタバース市場は、今後さらに、どのように成長していくのでしょうか。視野を広げながら、メタバースの最新動向もチェックしていきましょう。