教育関連の問題解決に、メタバースをはじめとしたバーチャル技術が活用される事例が増えています。今回ご紹介するのは、株式会社LearnMoreとoVice株式会社が始めたた「バーチャル教室」に関する話題です。
「バーチャル教室」とは
バーチャル教室は、メタバースを活用した新たな教育環境です。不登校児童・生徒や放課後スクールなどに通う子どもたちに、学びや社会性を育む機会を提供します。サービスを提供するのは、株式会社LearnMoreとoVice株式会社です。両社はリーセルパートナー契約を締結し、新たな教育環境の創出・提供を行うことを発表しました。
取り組みの第一弾は、不登校児童・生徒を中心に提供するサービスです。授業支援にメタバースを活用し、学校の授業や教師・クラスメイトとのコミュニケーションをオンラインで実現します。また、デジタル教材の活用やオンラインでのキャリア教育などを通し、子どもたちが公平に学びながら社会と関わる機会を提供。自分自身で考えて、行動できる力も養えるようサポートします。
メタバース活用によるメリット
インターネット上の仮想空間であるメタバースを教育支援に活用するのには、さまざまなメリットがあります。1つは公平な教育機会の提供で、学校に行くのが難しい子どもにも、1人ひとりに合った教育環境、学習状況に応じた学びの提供が可能です。
また、昨今は少子化や教員不足などにより、学校の統廃合が進んでいて、学校が遠く通学に時間がかかったり、スクールバスに乗らないと登校できないという問題もあります。メタバースなら、こうした「距離の制約」を取り除くことができ、自宅にいながらメタバース空間でリアルに近い学校生活を実現できます。身体的負担はもちろん、学校での精神的なストレスを抱える子どもも、ストレスフリーな学校生活で不登校を未然に防止できるでしょう。
さらに、メタバースツールは使い方が簡単で、デジタルツールやオンラインなどでのカスタマイズができます。利用データから入室回数や滞在時間、会話発生数などの把握も可能で、データを元にした効果検証は今後の教育施策にも活用可能。よりよい教育環境の実現に貢献します。
教育現場が抱える問題解決につながるか
令和4年度の小中学校の不登校児童・生徒の数は、約29万9,000人。年々増加している不登校者数はコロナ禍を機に急増し、教育現場における大きな問題となっています。また、昨今は共働き家庭も増加しており、学童や放課後スクールなどに通う「放課後児童」の居場所が確保しにくいのも、教育現場が抱える問題の1つです。
メタバースなら、自宅にいながら学んだり学校内との連携を取ったりできるだけでなく、放課後児童が自宅にいながら安全に保護者の帰宅を待つ環境も実現できます。メタバースを活用した新たなサービスは、教育現場のさまざまな問題を解決し、多くの子どもに学びの機会や居場所を与えられるのでしょうか。
「生きた学び」のサポートに向けて
不登校支援からスタートするバーチャル教室は、その後放課後児童支援、さらに教師の視野拡大、地域との関係性の構築、総合学習などへの活用も想定しています。そして、リモート学習全般に活用できるツールとして、新たな教育環境の提供を進める予定です。
メタバースによる学習は、子どもたちに「生きた学び」を身につけるサポートを実現できるのでしょうか。今後の動向もチェックしていきましょう。