人気メタバースプラットフォーム上には、さまざまな空間が存在します。また、昨今は自治体が構築したメタバース空間で、その土地の魅力をアピールする活動も積極的です。
しかし、せっかく魅力的な空間を構築しても、人が集まらない「メタバースの過疎化」が見られるケースは少なくありません。今回は、人が集まるワールドの事例をもとに、過疎化しないメタバース実現のための条件についてまとめました。
バーチャル道頓堀
現実世界では「阪神タイガース優勝で川に飛び込む」のが名物となっている、大阪の道頓堀。メタバースにも、リアルに再現された「バーチャル道頓堀」が構築されており、VRChatで遊びに行くことができます。
2023年、18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガース。この日、「バーチャル道頓堀」には大勢の阪神ファンが押しかけ、優勝決定を見守りました。また、現実世界と同様、アバター姿で道頓堀の仮想の川にダイブする人も続出しました。
江戸川区「メタバース区役所」
東京都江戸川区は、「メタバース区役所」の実証試験への取り組みで注目を集める自治体です。2023年6月より、メタバースを活用したオンラインでの取り組みに尽力しています。
「メタバース区役所」では各種相談はもちろん、、バーチャルでの申請受付にも対応可能です。同区のDX推進課によると、自治体がメタバースでの申請受付を行うのは「全国初であると認識している」とのこと。「ほかにないサービス」で、自宅から出るのが困難な人を中心に、多くの区民に活用されています。
VRChat「曙松鉄道曙松線」
VRChat内にある「曙松鉄道曙松線」は、精巧に再現された蒸気機関車の運転体験ができるワールドです。「曙松鉄道曙松線」は架空の鉄道路線ですが、細部にわたってこだわって作られた蒸気機関車が、鉄道ファンをはじめとした多くの人に評価されています。
蒸気機関車内には、大量の計器類やレバーが存在し、信号機などもリアルに再現されています。運行には機関士と機関助手、車掌、駅員など4名以上が必要で、仲間と協力して大きな車体を動かし、運行を成功させる喜びを共有できます。
過疎化しないメタバースの実現に必要なのは?
メタバースの最大の魅力は、現実にはできないことを実現できる点だといえます。今回ご紹介したメタバースは、「道頓堀に飛び込んでみたいけどできない人」や「蒸気機関車を運転してみたい人」の希望を、バーチャル空間で叶えることが可能です。また、メタバース区役所は、これまでできなかった申請受付を導入するなど、新たなサービスの導入が特徴だといえます。
さらに、「曙松鉄道曙松線」では4名以上でよりよい参加ができるといった「人数がそろうとより楽しめる」工夫が凝(こ)らされているのもポイントです。
- 現実ではできない魅力的な体験が実現できる
- これまでにない画期的なサービスを導入する
- 複数人で楽しめるといった人数の条件付けをする
上記の3つが、「人が集まるメタバース」を実現するために必要な条件だといえます。人気のワールドが、これらの条件に当てはまっているかにも注目しながら遊びに行ってみると、これまでとは異なる発見があるかもしれません。