クラスター株式会社(東京都品川区)は、岡山大学の長谷井嬢准教授が行う、メタバース活用に関する研究に協力することを発表しました。「世界初の挑戦」といわれる研究の内容は、どのようなものなのでしょうか。
岡山大学准教授が取り組むメタバース活用
岡山大学の長谷井准教授が取り組む研究は、「患者同士の孤独感を解消する仮想空間の実現」へのメタバース活用です。小児・思春期・若年成人世代を中心とした、希少がん患者向けに、コミュニケーションを取ったり、経験を共有したりできる新たな「居場所」を提供し、「孤独感」の解消を目指します。
メタバースに期待できる効果
メタバースは、アクセス環境が整っていればいつでも、どのような場所からでも入れる空間です。メタバースを介して、同じ病気と闘う患者同士がアバターを使って安全に交流できれば、遠隔地や他施設にいる患者と、悩みを共有し、情報を交換できます。
また、メタバースではコミュニケーションだけでなくゲーム体験なども可能で、楽しみながら交流するなかで、緊張感を緩和させ、よりよい時間を過ごすことも期待できます。
さらに長谷井准教授は、同年代の患者が少ない疾患を抱える患者同士が、物理的制限から解放されたメタバースでコミュニケーションを取ることは、患者のQOL向上にもつながるのではないかと考えています。
「世界初の挑戦」に、クラスターが協力
長谷井准教授は、複数施設に入院中の患者同士が、メタバースで交流をするのは「世界初の挑戦」だと語ります。研究の一環として、実際にメタバースでの交流も行われており、350km離れた病院の患者同士が、お互いの治療への不安や経験などの情報を交換しました。交流会を通し、不安な日々を過ごす患者には笑顔が生まれたといいます。
研究に協力するクラスター株式会社は、この結果を受け、「病室では見られなかった世界や、ユーザーが作ったワールドを通じて、誰かが笑顔になれたことをうれしく思う」とコメントしています。
今後の取り組みや成果に期待
医療へのメタバース導入が進むなか、これまでにない活用に向けた研究も次々と登場しています。メタバースが、離れた場所で闘病する患者同士の「居場所」となり、治療に前向きになれる人が増えることにも期待したいですね。