自治体のメタバース活用の目的は、他地域の人への魅力発信だけでなく、「いま住んでいる人たちに、よりよいサービスを提供したい」という思いで、構築されるものもあります。今回は、地域住民に向けたメタバースの活用事例を紹介します。
地域住民に向けたメタバース活用事例①北海道苫小牧市
北海道苫小牧市は、2024年2月にVRを活用した「生理痛」の体験ワークショップを行いました。ワークショップには、日本唯一の生理痛VR体験装置「ピリオノイド」が利用され、集まった地域住民が、生理痛を体験しました。
生理痛のない男性はもちろん、女性も生理痛には個人差があり、一概に「つらい」「つらくない」とはいい切れません。ワークショップでは体験を通し、皆で生理痛について考え、ジェンダーについても理解を深めました。
②静岡県掛川市
静岡県掛川市では、VRを活用した被災体験、災害体験を定期的に実施しています。参加者はVRゴーグルを装着し、大雨による冠水で、車が水没していく状況をはじめとした災害を、疑似体験します。
「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を目標にDX推進を行う掛川市は、被災体験や行政の会議などにVRを取り入れることをはじめ、多方面でのデジタル化に向けたVR活用に積極的に取り組んでいます。
③愛知県碧南市
愛知県碧南市は、秋の総合防災訓練で、VRによる地震・津波体験を実施しています。市民参加型の防災訓練では、会場内に多数の訓練や体験ブースを設置します。その1つにVRを取り入れ、VRゴーグルを装着して地震時の様子をリアルに体感したり、ゴーグルを装着したまま自転車を漕ぎ、津波から逃げたりする体験ができます。また、2023年の訓練では、ARを活用した浸水体験の実証試験も会場で行われました。
住む人にも‘生きる’、メタバースに注目!
メタバースやVRを活用し、地域の人に役立つコンテンツやイベントを実施する事例も増加中です。さまざまな体験を、コストを抑えながら実現できる最新技術を使って、今後もより楽しみや学びのあるコンテンツが誕生することに、期待したいですね。
地域住民向けのメタバースの1つである、仮想空間上で手続きや相談などができる「メタバース役所」のさらなる進化にも、注目しましょう。