企業の研修にメタバースやVRを取り入れると、よりよい効果が期待できます。今回は、研修にメタバースを取り入れるメリットや、活用事例を紹介します。
メタバースを研修に活用するメリット
メタバースを用いた研修のメリットは、以下の通りです。
- 効率的な研修の実施
- 自由な時間・場所での受講
- コストを抑えて繰り返し学べる
3Dコンテンツは、文章や写真、動画といった従来の2D教材よりも直感的に理解でき、効率的な研修の実施に貢献します。たとえば、機械の操作方法のような立体的な作業は、仮想空間内で見たり、体験したりしたほうが深く理解しやすいといえます。
また、メタバースは好きな時間・場所からアクセスできる空間です。よって、研修のために大勢の従業員が本社に集まる、受講者と講師が研修のための時間を確保するといった手間が省けます。
さらに、メタバースは1度コンテンツを作成すれば、繰り返し使用できるので、研修のたびに講師を立てる必要がありません。企業はコストを削減でき、研修を受ける従業員は、理解が定着するまで繰り返しコンテンツを利用でき、失敗してもリスクのない体験ができるのも、メリットだといえるでしょう。
研修への活用事例①ANA
「労災ゼロ」を目指すANAは、整備士向けの安全体験教育研修に、VRを活用しています。「ANA VR Safety Training System」は、整備士が作業時にしっかりと安全確保できるよう、危険予知能力を向上させるプログラムです。
VRでは、格納庫での整備作業を再現しており、危険を見逃したり、安全行動の手順を間違えたりすると、転倒を体験します。ただ失敗を体験するだけでなく、実際の作業で転倒や転落が起こらないよう、行動の振り返りを行えるのも特徴です。
②JR東日本
JR東日本は、鉄道事故現場のシミュレーション研修に、VRを取り入れています。研修に用いられるのは、鉄道の3大労災といわれる「触車」「墜落」「感電」のなかから、「触車」と「墜落」に関する4つの事故を再現したコンテンツです。
HMDを使った研修は、高額で準備の手間もかかります。一方、VR研修はスマホで体験できるので、従業員が1つの会場に集合する必要もなく、よりわかりやすい内容を発信できます。
③凸版印刷
凸版印刷は、新入社員研修のなかで、従業員同士のコミュニケーションの場としてメタバースを活用しています。同社が制作・運営するメタバースアプリ「メタパ」をカスタマイズし、新入社員はもちろん、先輩社員と交流できる場を開設しました。
メタバースでの交流では、情報交換はもちろん、今後の業務における不安や悩みの共有も可能です。凸版印刷は、メタバースの導入によって、新入社員のより手厚いサポート体制を確立しています。
メタバースで、より現場で役立つ体験を
研修にメタバースやVRを導入すると、実際の業務により役立つ学びを、効率的に習得できます。幅広い用途で活用されるメタバースが、企業研修にもさらに取り入れられるとよいですね。