東京大学大学院情報学環は、パレスチナ・ガザ地区の戦争被害を体験できるVRコンテンツを開発することを発表しました。コンテンツ開発は、アルジャジーラ・メディア・ネットワークと共同で行われます。
コンテンツ開発の目的
東京大学大学院情報学環では、これまでVR技術を活用した、さまざまな取り組みを行ってきました。新たなVRを共同開発するアルジャジーラ・メディア・ネットワークは、カタールに拠点を置き、中東の現況を世界に発信する報道機関です。
2つの機関によって生み出されるVRコンテンツは、教育や研究での利用を想定しています。ガザ地区の状況を、VRでより直観的に体験することで、戦争被害への理解を深めることが、大きな目的です。
東京大学とアルジャジーラの役割
新コンテンツ開発にあたり、東京大学大学院情報学環は、コンテンツ開発を主に担います。アルジャジーラ・メディア・ネットワークの役割は、自社で保有するガザ地区の映像や画像データの提供です。
現地のリアルな映像・画像の提供と、これまで数々のVRコンテンツを開発してきた技術により、戦争がもたらす影響を、より高い没入感で伝えるコンテンツとなることが期待されます。
過去にはウクライナの戦争を記録したVRも
東京大学大学院情報学環は、これまでにも戦争や災害に関するVRを開発してきました。渡邉英徳研究室の小松尚平特任研究員は、「戦災VR」というシステムを開発しており、このコンテンツでは、ウクライナの現地協力者とともに制作したバーチャル空間で、ウクライナの戦争被害を記録した環境を体験できます。
太平洋戦争終戦から79年が経過し、戦争は「遠い昔のできごと」だと捉える若者も増加しています。VRを通した戦争体験、戦争被害をリアルに見る体験は、戦争を「自分事」として捉え、平和について考えるきっかけを与えるのではないでしょうか。
一人称視点での戦争体験で、得られるのは…
一人称視点で戦争被害を体験するVRコンテンツは、戦争を知らない人たちにその恐ろしさや平和の大切さを伝える、重要な教材となることが予想されます。新たなコンテンツが、さまざまな教育機関で活用されることにも、期待したいですね。