法務省矯正局が、XR技術を取り入れた職業訓練を開始しました。受刑者のスキル習得支援に導入されたVR訓練は、効果検証でよい結果が出たことが報告されています。
イマクリエイト協力のもと立ち上がった「仮想空間×職業訓練」プロジェクト
XR技術を活用した「仮想空間×職業訓練」は、2024年の「すごいベンチャー100」にも選出された、イマクリエイト株式会社(東京都品川区)協力のもと、立ち上げられたプロジェクトです。従来の職業訓練は、専門の設備・機材の準備、受刑者のプライバシー保護、セキュリティ確保など、さまざまな課題がありました。
VRヘッドセットを使用した仮想空間内での職業訓練は、こうした課題を解決しながら、安全かつ実践的な技術習得をサポートします。
効果検証の結果は?
VR職業訓練にどのような効果があるかを調べるため、刑務所内では、VR学習と従来の学習の2グループにわかれ、効果検証が行われました。検証の結果、VRで学習したグループは、従来の方法を用いて学習したグループと比べて、高い理解度を示しました。
XRを用いた職業訓練は、これまで行われていた職業訓練よりも効果的である可能性が高いといえます。
VR職業訓練がもたらすメリット
効果検証の結果、VR職業訓練には、以下のようなメリットがあることもわかりました。
- セキュリティ向上
- コスト削減
- 学習意欲向上
- 複数の職業訓練の実施
受刑者を刑務所外に出したり、外部から講師を呼んだりする必要のないVR訓練は、セキュリティ向上に貢献します。また、設備や機材を実際に用意しなくてよいため、コストの大幅な削減も可能です。さらに、VR訓練では、従来の訓練よりも受刑者が意欲的に取り組む姿が見られたといいます。
体験できるコンテンツを充実させれば、1つのデバイスで複数の職業訓練も実施できるようになり、さらなるコスト削減や、受刑者のスキル習得にも役立つでしょう。
刑務所でのさらなる活用にも期待
時間や場所を選ばず、受刑者のタイミングや好みに合った訓練が受けられるVR職業訓練は、刑務所での効果検証で、高い効果が示されました。今後は多様な職種・技能に対応したコンテンツ開発に加え、社会復帰や心理療法など、幅広い分野に応用されるのではないでしょうか。
XR技術が、さまざまな立場の人に役立てられる未来に、期待しましょう。