岡山大学が、LGBTユースの支援にメタバースが有効であることを発表しました。カミングアウトが難しいLGBTに、メタバースはどのような効果をもたらすのでしょうか。

カミングアウトが難しい、LGBTの実態
LGBTユースに関する調査によると、9割以上の人が「保護者へのカミングアウトができていない」と回答しています。「多様性」が叫ばれる昨今ですが、学校はもちろん、家庭でも自身が抱える悩みを打ち明けるのは、まだまだ難しい状況です。
メタバースを活用した支援を実施
LGBTユースの多くが、孤独感や深刻な悩みを持って生きているなか、岡山大学の長谷井嬢教授は、メタバースを活用したLGBTユース支援を考案し、2024年1月より、メタバースを活用した支援グループをスタートしました。
活動期間が1年経過したところで、長谷井教授はその解析を実施し、LGBTユース支援にメタバースが有効であることを発表しました。メタバース支援グループの有効性を明らかにしたのは、世界初です。
メタバースがもたらす効果は?
LGBTユースが気軽に悩みを相談できる場所や機会を提供するメタバースでは、誰もが自分の希望する性別を自由に表現することが可能です。これにより、多くの利用者が高い満足度と心理的違和感の低減を実感したことが明らかになりました。
また、自己表現や心理的安全性、アクセシビリティの評価が、現実世界よりも高い結果を出しており、特に、現実における対人関係にあまり自信がない人ほど、メタバースでは自信を持てることもわかっています。
長谷井教授の今回の研究の成果は、メタバース分野の国際学術誌「Journal of Metaverse」に掲載されました。LGBTユースの心理支援への新たな可能性を示すものとして、注目を集めています。
さまざまな立場の人が生きやすい空間を目指して
自分も、相手も顔が見えない空間で、望んだ性別のアバターを介してコミュニケーションが取れるメタバースは、LGBTユースが抱える自己否定や、孤独感を軽減します。メタバースの”匿名性”の高さは、メンタルヘルス関連のサービスと相性がよく、「相談しやすい環境」で、多くの人の悩みを解消する可能性を秘めています。
さまざまな立場の人に役立つメタバースが、これからも多く登場することに期待しましょう。