VRは魅力的な仮想体験を実現するだけでなく、さまざまな立場や状況を体験できるツールとしても活用されています。たとえば不審者と遭遇した際や災害時の対策を学ぶVR、認知症や発達障害を持つ方の立場になれるVRなどです。
そんな体験型VRのなかには、自閉症の子どもが見えている世界を再現しているものもあります。今回は自閉症に関するVRの概要をご紹介します。
自閉症とは
そもそも自閉症とはどういったものか、具体的に知らないという方もいるでしょう。自閉症は正式な名称を「自閉スペクトラム症」といいます。英語の「Autism Spectrum Disorder」の頭文字を取り、「ASD」と言われることも多いです。
自閉症の特徴には次のようなものがあります。
- 対人関係が苦手
- 強いこだわりがある
- 発症率は子どもの20~50人に1人
- 男性の自閉症者は女性の2~4倍と多い
自閉症は病気ではなく、生まれつき持っている特性だという捉えられ方をしています。薬での治療はできませんが、それぞれの特性に合った教育支援を行い、生活への支障を軽減させていきます。
自閉症を疑似体験できるVRとは
自閉症の疑似体験ができるVRでは、自閉症の子どもが見ている世界を再現しています。自閉症とはどういうものか、頭では理解していても実際に自閉症を患っている方の気持ちや視点を100%理解することはできません。
VR動画は五感で自閉症を体験し、さらなる理解につなげることを目的に作られました。およそ5分間の動画では、学校での様子を通し、自閉症の子どもには世界がどのように見えているのかを再現しています。
VRを通して学べる内容は
自閉症を含む発達障害を抱えている可能性がある子どもは、小学生の6.5%だともいわれています。しかし、自閉症などは一見してわかるような障害ではないため周囲からの理解が得にくく、症状に気付くのが遅れたり、クラスメイトや教師、他の保護者に誤解を生じることもあります。
クラスに馴染めない、授業に遅れを取ってしまうということがあると、自閉症の子どもは苦しい環境での生活を強いられます。また、こうした「周囲との違い」は、最悪の場合いじめに発展する可能性もあるため深刻です。
自閉症VRでは、教師はもちろん子どもたちにも自閉症への理解を深め、どういった症状があり、生活がどのように困難であるかを学ぶことができます。「知識」としてではなく仮想体験を通して自閉症に対する理解を深めると、自閉症の子どもに対してどういった対応をしていくのがベストであるのかを本人の視点になって考えることも可能です。
今回ご紹介した自閉症をはじめ、さまざまな障害や症状を抱える方の立場になれるVRは複数存在しており、今後も種類が増えていくことが期待されています。
仮想体験で知識や経験をふくらまそう
仮想体験は楽しさを追及するためだけではなく、「誰かの立場になって考えること」にも大いに貢献します。書籍などで学ぶだけではわからないことも、仮想体験をすることで見えてくる場合は多いです。
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