VRは現実にはできない体験を実現してくれることはもちろん、ドキュメンタリーをよりリアルに視聴し、自分事として捉える材料にもなります。さまざまなVR動画が制作されるなか、イラクでの紛争後の問題を描いたVRドキュメンタリーに注目が集まっています。
今回は、動画の内容や私たちが動画を通して取り組む、考えるべき問題についてご紹介します。
紛争の「その後」を描く『Home After War』
2018年制作のVRドキュメンタリー『Home After War』は、およそ20分の動画です。Oculus Storeで視聴可能で、ドイツ・アメリカ・イラクが共同で制作しています。この動画では、イラク人の家族が戦後、イラクの都市にある自宅に戻った「その後」が描かれています。
イラクの都市ファルージャには爆弾やブービートラップなどが仕掛けられており、戦いが終わっているにもかかわらず多くの一般人がけがをしたり命を落としたりしています。安全が確保できない状況のなか、それでも多くのイラク人の方々がファルージャに戻ることを希望。
この現状を取り上げたVRドキュメンタリーは、ベネチア国際映画祭やSXSW映画祭など、世界中の映画祭で上映されました。
VRドキュメンタリーの見どころ
このVRドキュメンタリーの見どころは、語り部であるイラク人の方の自宅内を自由に歩き回ることができること、また話の内容に合わせ、複数の360度映像を見ることができる点です。
ただ語りを聞くだけ、内容に沿った映像を見るだけよりもリアリティを感じることができる演出で、より多くの方が戦争とその後の問題を当事者目線で知ることができるのではないでしょうか。
また、このVRドキュメンタリーはフォトグラメトリーと360度映像を織り交ぜて制作されています。フォトグラメトリーとは、被写体をさまざまなアングルから撮影して画像を解析・統合し、立体的なモデルを作成するものです。
立体的な語り部の姿は、まるで本当に目の前で話を聞いているような感覚を呼び起こし、涙しながら語る様子に、なんとも言えない感情を抱く方もいます。
動画を通し、私たちは何を考える?
VRドキュメンタリーを通して私たちは、改めて戦争の恐ろしさや世界の平和と安全の維持について考える必要があるでしょう。戦争・紛争が起こっている最中はもちろん、その後も戦争による影響は続きます。
爆弾などによる直接的な被害はもちろん、原爆のように長年に渡り人体やその土地に深刻な影響を及ぼすものも多く存在します。
罪のない一般の方々が傷つき、ときに命を落とす状況を阻止するため、声を大にして戦争や紛争を反対していくこと、戦争が起こった場合には国を挙げて難民などを保護することなどは、当事国ではない国々でもできることだといえるでしょう。
戦争・紛争のない世界を目指して
第二次世界大戦を最後に、日本は戦争から遠ざかりつつあります。これは喜ばしいことである一方で、世界では未だ戦争や紛争に苦しむ国や人々が多くいることを、理解しなければなりません。
今回ご紹介したVRドキュメンタリーは、戦争を「自分事」として捉え、若い世代が戦争について考え、行動するよいきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。世界のさまざまな場所で起こっている問題について、VR動画を通してより深く知り、学び、考えていけるとよいですね。
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