多くのVR動画が登場するなか、ARを活用した新感覚の映像も話題となっています。現実世界の絵本と拡張世界を組み合わせた新たな世界観には、どういった魅力があるのでしょうか。

今回はARと絵本を融合させた「Acqua Alta – Crossing the Mirror」について、ご紹介します。

「Acqua Alta – Crossing the Mirror」とは

「Acqua Alta – Crossing the Mirror」は自然現象をモチーフにした作品です。2019年にフランスで制作され、第24回文化庁メディア芸術祭では、アート部門で優秀賞を受賞しています。

作品は男女のカップルが真っ白な家で、平和に暮らしているところから始まります。しかし2人の静かな生活は大雨により一変。増水により白い家は海へ沈んでしまい、女性は足を滑らせ海のなかへ消えてしまうのです。

男性は女性を探すため海に飛び込み、そのなかでさまざまな不思議な体験をする、というストーリーとなっています。

ARによって拡張された表現に注目！

「Acqua Alta – Crossing the Mirror」はポップアップ絵本（飛び出す絵本）とARを組み合わせることで、ただの絵本では実現できない世界を現実の絵本のなかに表現しています。

専用の媒体をポップアップ絵本にかざすことで、水中を立体的に表現したり、絵本を飛び出すような巨人が現れたり、紙媒体にはない光と影の装飾がなされたりと、「拡張現実」であるARの技術が、絵本をより楽しめる要素を付加してくれます。

物語の主人公である男女は、実際のパフォーマーの動きをモーションキャプチャで撮影し制作しているので、より繊細に絵本の上で動き回ります。階段などの高低差に合わせた細かな動きも実現しており、緻密な計算のもとで制作されていることがわかるでしょう。

さまざまな技術を駆使した映像が美しい

AR映像は、パフォーマンスアートとデジタルアートの融合による新たな表現も魅力です。デジタルアートは、無機質な印象になりがちですが、そのなかに温かみを感じさせる表現を意識しています。そこに実際の人の動きによるパフォーマンスアートを合わせることで、今までにない表現や世界観を実現したい、という制作者の思いが伝わります。

また「Acqua Alta」は、今回ご紹介しているポップアップ絵本とARの融合による「Acqua Alta – Crossing the Mirror」、VRゴーグルで舞台をみているような感覚を体験できる「Acqua Alta – Tête-à-tête」、そして実際の舞台上に透過型のスクリーンを設置し、そのなかでパフォーマンスを実施する「Acqua Alta – Ink black」の3種類に挑戦しているのも注目したいポイントです。

VR版や舞台版もぜひ体験し、ARとの違いや魅力を知りたいところですね。

ARやVRで世界の可能性を広げよう

ARやVRはさまざまな表現の可能性を広げ、私たちに今までにない世界を見せてくれます。今後も絵本や舞台との融合、拡張現実を活用した新たな表現に期待していきましょう。

メタツアーズはVRはもちろん、AR・MRの新技術やコンテンツにも注目していきます。さまざまなコンテンツやサービスの登場について、メタバースニュースを通して知っていただければ幸いです。

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