世界各地でVR作品が誕生するなか、日本でも多くのVR映像が制作されています。2021年には文化庁メディア芸術祭のアート部門で、VR・AR技術を使用した「縛られたプロメテウス」が大賞を受賞。エンターテイメント部門においても、「Replacements -諸行無常-」というVR作品が、優秀賞を受賞しました。
今回は、同芸術祭のエンターテイメント部門で、新人賞を受賞したVRアニメ「Canaria」をご紹介します。ミュージックビデオとして制作された手書きVRアニメには、どういった魅力があるのでしょうか。

「Canaria」とは
「Canaria」は東京藝術大学大学院映像科アニメーション専攻在籍の、ゆはらかずき監督によるVR作品です。こちらのアニメーションは、VR映像としての魅力が評価されていることはもちろん、トクマルシューゴさんというミュージシャンの「Canaria」という曲のミュージックビデオとして制作されたことも、注目を集める理由となっています。
ポップでカラフルな世界のなかで、老いていく1羽のカナリアの姿を描いたアニメーションは、VR表現の新たな挑戦で作品に深みを生み出しているのです。
手書きアニメーションの魅力
半年以上かけて制作された「Canaria」は、全編ゆはらかずき監督の手描きによってその世界観が表現されています。背景やキャラクター、すべてを360度のアニメーションとして描くのは非常に時間がかかる作業ですが、味わい深く温かみのある作品に仕上がりました。
冒頭では空にさまざまな立体物が浮かび、それが水面に映し出されます。空を流れる雲が地面に影を落とす様子なども精巧に表現されており、心地よい空間に身を置いていたくなるでしょう。
このVRアニメーションでは、タイムラプスによる時間表現や、光の線の流れによる落下感覚の体験など、VRならではの特徴を生かし、さまざまな体験が可能です。特に、カナリアが宇宙に飛び出したあとに世界が回るシーンは、VRならではの非現実的な感覚を味わえるでしょう。
VRで音楽界も変わる?
ミュージックビデオとして制作された「Canaria」は、当然歌詞をもとに監督がイメージした世界を表現しています。VRミュージックビデオはこれまでも多く制作されていますが、過去の作品はアーティストが歌ったり演奏したり、踊ったりしている様子を、好きな視点で見られるものが多い傾向でした。
しかし、今回のような作品の世界観を表現するVRミュージックビデオは、きわめて斬新で、曲の世界観をより明確に視聴者に伝えることが可能です。今後、音楽とVRの融合は増えていくと予想されており、VRミュージックビデオによって音楽界の変化はもちろん、よりよいVR作品も多く誕生するのではないでしょうか。
さまざまな業界の可能性を広げるVRに期待しよう
VR技術はエンタメはもちろん、教育や不動産など幅広い業界に、変化をもたらしています。今後もVRはさまざまな業界に導入され、可能性を広げることに貢献するでしょう。
将来VRを使いこなせる、VRに関わる職業に就けるようになるためにも、早期教育は必要不可欠になってきます。中高生を対象としたメタツアーズの有料教育コンテンツもご活用いただき、学校教育にVRを取り入れてみてはいかがでしょうか。
VRやドローンでSDGsを学ぶ「デジタル教科書」については、専用ページもぜひチェックしてみてください。
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