2011年3月11日に日本を襲った、未曽有の大地震「東日本大震災」。深刻な被害が及んだ東北地方の様子には多くの方が注目しましたが、被災した街がどのように復興しているのかについては、ご存じでしょうか。
今回は、「3.11」の被害を受けた街が復興していく様子をVRにまとめた動画について、ご紹介します。
発災当初の被災状況について
東日本大震災が起こったのは、2011年3月11日の14時46分。マグニチュード9.0と、日本周辺での観測史上最大の地震でした。最大震度は宮城県の震度7、また宮城県を含む4県36市町村で震度6強を観測しました。
大きな地震による被災者も多くありましたが、最も多くの死者を発生させたのは、地震の影響による津波でしょう。場所によっては波高10メートル以上にもなる津波が海沿いの街を襲い、40万戸以上の建築物が被害を受けました。
発災直後のピーク時には、およそ47万人が避難を余儀なくされる、東京都では帰宅難民が多数発生するなどの被害が及びました。この東日本大震災による死者・行方不明者ですが、2021年の警察庁の発表によると死者1万5899人、行方不明者2526人であるといいいます。
ちなみに、最も死者が多かったのは津波の被害が大きかった宮城県で、9500人以上の方が亡くなっています。次いで岩手県が4600人強、福島県がおよそ1600人と、3県での死者がほとんどです。
「Mira(i)cle」とは
そんな東日本大震災の悲惨な状況については、連日のニュースや現在もSNS等に投稿されている動画で知っている方も多いでしょう。しかし、甚大な被害を受けた街が現在どのようになっているのかを知っている方は、多くはないかもしれません。
「Mira(i)cle」は、東日本大震災からの復興の様子をVR動画にまとめたもので、2020年3月に、東京都により制作されました。投稿されている3種類の動画では、案内役のフェニックスとともに、被災地を訪れたような感覚を体験できます。
VR動画から学べることは
復興の様子を伝えるために撮影されたのは、岩手県陸前高田市の「東日本大震災津波伝承館」、宮城県南三陸町の「南三陸さんさん商店」、福島県浪江町の「請戸漁港」などです。この動画が制作・公開された経緯は、「現地を訪れ、復興の状況を見て欲しい」という声があったからだとのこと。
動画では穏やかな海と漁港の様子や、震災の記録を伝える伝承館内部の様子などを、好きな視点で見ることができます。震災と同時に、津波や火災でも多くの被害を受けた町並みからはかけ離れた、当たり前のような日常の風景が、そこには広がっているのです。
この動画は被災地がどれだけ復興したのかを理解できると共に、被災地からの「これまでの支援・応援に対する感謝」の気持ちも、くみ取ることができます。また、VR動画が公開された2020年当時の「復興オリンピック・パラリンピック」という東京オリンピック・パラリンピックの理念も、見ている方に感じてもらえるようにという思いで制作されたそうです。
こうした制作陣や被災地の方々の思いを胸に動画を見ると、感じられるものが変わってくるかもしれませんね。
忘れてはいけない歴史の記録もVRで残そう
東日本大震災は国内、そして世界的にも記憶と記録に残る大きな地震でした。震災による被害は今後も語り継がれるでしょうし、決して忘れてはいけない歴史の1つです。しかし、そこで立ち止まるのではなく、被災した街がその後どうなったのかを見届け、伝えていくのも、今を生きる私たちの役割だといえるでしょう。
被災地の現在の様子はもちろん、被災した方々のお話なども、VRで見られるようになると、より深い学びにつながるといえます。そうしたコンテンツが今後増えていくことにも、期待したいですね。