2003年に地球を出発した小惑星探査機「はやぶさ」は、7年の年月を経て帰還しました。そのあいだにはさまざまなトラブルも起こり、ミッションをこなしながらの20億キロメートルの旅は、決してロマンチックとは言い難いものだったようです。
そんな「はやぶさ」の出発から帰還までをCGで描いたのが「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」です。今回は、このVR作品の魅力に迫ります。
「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」とは
「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」は、2019年に日本で制作されたドキュメンタリーVRです。45分間の映像には、美しい宇宙の様子だけでなく、「はやぶさ」がトラブルに見舞われる様子なども収められています。
もともとこの作品は、プラネタリウムでの上映用に制作されたものでした。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、自宅でプラネタリウムシアターを楽しめるようにと、VR化が実現したのです。
落ち着いたナレーションは、俳優の篠田三郎さんが務めています。ストーリーに没入できるナレーションで、「はやぶさ」のドラマを存分に堪能できるでしょう。
本当のプラネタリウムに来たような体験!
「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」の魅力は、本物のプラネタリウムに足を運んだような体験ができる点です。ヘッドマウントディスプレイを装着して周囲を見渡すと、椅子が並べられているのが分かります。
頭上は半球のドーム状になっており、作品が始まると、ドームスクリーンに映像が映し出されるという演出です。宇宙をリアルに体験するタイプのVRではなく、プラネタリウムを体験するVR、といったほうが正しいでしょう。
感動のドラマにも注目
真っ暗な空間に浮かぶ青い地球をはじめ、CGで描かれた宇宙は全編を通して美しいものです。また、「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」はドキュメンタリーVRというカテゴリーということもあり、宇宙に焦点を当てた映像ではなく、「はやぶさ」帰還までのドラマがメインとなっています。
「はやぶさ」が苦労を重ねて小惑星「イトカワ」のかけらを持ち帰る様子は、思わず体に力が入るような光景です。また、交信が途絶えた「はやぶさ」がぼろぼろの状態で地球に帰還するラストシーンは、なんともいえない感動を覚えるでしょう。
ドキュメンタリーVRは高い没入感で、2D映像にはない感動や学びを与えてくれますが、「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」も例に漏れず、純粋な感情を呼び起こしてくれるストーリーが魅力となっています。
新感覚のプラネタリウムを堪能しよう
満天の星空を見上げながら、星座に隠されたストーリーなどをたどる従来のプラネタリウムから大きく進化し、現代のプラネタリウムではさまざまなドラマが繰り広げられています。そんなプラネタリウムの魅力を、自宅でも楽しめるのはうれしいですね。
新感覚のプラネタリウムを堪能できるドキュメンタリーVRを、ぜひ体験してみてください。