さまざまな工夫を凝らしたVR映像が多数登場していますが、2019年に公開されたVRに、段ボールで作られた非常に個性的な作品があります。およそ10分間のVR映像は、地道な努力の結晶によって作られました。
今回は、「Passenger -不思議な街への訪問」についてご紹介します。
「Passenger -不思議な街への訪問」とは
「Passenger -不思議な街への訪問」は、2019年にオーストラリアで制作されたVRアニメーションです。2019年のヴェネツィア国際映画祭ではVR部門でノミネートされ、世界の映画祭でも注目を集めました。
物語の主役は「あなた」。移住してきた「あなた」は鳥の姿をしたドライバーが運転するタクシーに乗り込み、家まで送ってもらいます。ドライバーは街に関するガイドや、移住のアドバイスをしながら運転をしていますが、窓の外の幻想的な風景を眺めていると、新たな世界へと導かれていくのです。
初めて訪れる土地への期待や不安を、独特の世界観で表現したこの作品は、実際にオーストラリアに移住してきたタクシードライバーたちに取材をして、脚本が作られました。
10分の映像にかかった制作期間は…
段ボールで作られた独特の世界観のVRアニメーションは、およそ10分間です。しかし、撮影には1カ月もの時間を要しており、非常に長い制作期間を経て完成したことがわかります。
ストップモーションアニメは2Dでも多く存在しますが、360度のセットを組んでの撮影は、従来のストップモーションアニメとは比べものにならないくらいの労力がかかったと、監督は語ります。しかし、時間をかけて丁寧に作っただけあり、作品の完成度は非常に高く、幻想的な世界観が精密に表現されているのです。
ストップモーションVRならではの世界観
静止したモノを少しずつ動かし、カメラで撮影するストップモーション作品は、VRでは珍しいといえます。今回ご紹介した「Passenger -不思議な街への訪問」以外には、同じく2019年制作の「GIMNASIA」が、ストップモーションVRとしては有名です。
どちらも現実にはないような世界へ足を踏み入れるような雰囲気が魅力の作品で、こうした世界観が表現できるのは、ストップモーションアニメならではだといえるでしょう。
オーストラリアの街並みを段ボールで表現した映像は、異国へ初めて足を踏み入れたときのような、何ともいえない感覚を呼び起こします。監督の独特の視点、段ボールを使った表現、そしてVRの魅力を生かした作品に、ぜひ没入してください。
独特なVR映像も多数!新たな世界を楽しもう
VRはこれまでの2D映像では不可能だったさまざまな表現を可能とし、新たな世界や感覚を私たちに与えてくれます。今回ご紹介したストップモーションVRはもちろん、通常のアニメーションやドキュメンタリーVRのなかにも、魅力的な作品は多数あります。
おうち時間を楽しむツールとして、ぜひVR映画の視聴もご検討ください。メタツアーズオリジナルVRコンテンツ、おすすめYouTube動画も、幅広い年齢の方に親しんでいただいています。ぜひご覧ください。