仮想空間に実際の街を再現する「バーチャルシティ」。さまざまな街をバーチャル空間に作り出し、バーチャルとリアルの世界をうまく連動することで、リアルな街の活性化などに貢献します。
しかし、バーチャルシティも作り手によって異なる仕様のため、目的を達成できるような空間を本当に創造できているのかと問われると、難しい場合があります。そこで策定されたのが、バーチャルシティに関するガイドラインです。
今回は、そんなガイドラインの内容をご紹介します。
主要都市を再現した「バーチャルシティ」
メタバースでは、仮想空間内にいる人たちと自由に会話や取引などを楽しめます。空間内には自由に世界を作れるので、ゲームや展示、ライブなど、その可能性は無限といっても過言ではありません。
仮想空間に、仮想の町並みや世界観を再現するものも多くありますが、リアルな世界のなかにある都市を再現する「バーチャルシティ」が存在するのも、メタバースの特徴です。たとえば、このサイトでもご紹介した「バーチャル渋谷」「バーチャル大阪」などは、「バーチャルシティ」の代表格だといえるでしょう。
バーチャルシティはどこを目指す?
バーチャルシティは「都市連動型メタバース」とも呼ばれ、リアルと同じような空間を再現することで、実在する都市と連携し、街の活性化などを図ります。しかし、バーチャルシティ、そして現実世界にある都市を盛り上げるために足りない要素があると、メタバースのよさを100%活かすことはできません。
現在あるバーチャルシティの構築の方法では、そこに隠された多くのビジネスチャンスを落としてしまう可能性もあります。そこで制定されたのが、「バーチャルシティガイドライン」です。
こちらは、KDDIと東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインの5社が集まった「バーチャルシティコンソーシアム」で作られたもので、都市連動型メタバースのさらなる発展のためになるさまざまな要素が、ガイドラインとして提示されています。
策定されたガイドラインの内容は
今回策定されたガイドラインでは、具体的に都市連動型メタバースに関するどのような決まりができたのでしょうか。目標として掲げられている内容をご紹介します。
- 創作活動を促し、人の多様性を開放する
- 人の生活空間を拡張し、新たな経済圏を創出する
- グローバルレベルでの「シティプライド」と都市の文化を育む
- 「ヒト・モノ・コト」の偶発的な出会いと、コミュニケーションを創出する
- テクノロジーを活用し、ユーザーの権利の適切な保護に努める
- 公の場としての適切な運営と、オープン性を確保する
- 民主的なルールメイキング活動を推進する
また、コンソーシアムでは今後、プライバシーや利用者権利の保護、メタバース間の相互作用性の確保などを議論していく予定です。さらに「バーチャル渋谷」以外にも、国内のさまざまな都市のメタバース活用、ガイドライン適応に向けた整理についても話し合っていきます。
今回策定された「ガイドラインver.1」では、上記のようなまだまだ未整理な部分もありますが、「ガイドラインver.2」ではさらに明確な内容へパワーアップしていくでしょう。
新たなガイドラインで変わる、バーチャルシティに注目しよう
VR元年から急成長を遂げているVR業界やメタバース業界。現在、世界からの注目度は非常に高いですが、今回ご紹介したガイドラインのような「ルール」ができ、確実に活用できる場にならなければ、衰退は免れません。
新たなガイドラインの登場により、バーチャルシティがどのように成長・発展していくのか、今後も注目していきましょう。