「The Real Thing」は、ミラーワールドのドキュメンタリー作品です。中国に作られた世界のさまざまな街並みを、VRを使って体験することができます。不思議な感覚をVR映画で体験してみてはいかがでしょうか。
今回は2018年カンヌ映画祭でも上映された「The Real Thing」について、ご紹介します。
ミラーワールドとは
ミラーワールド(MIRROR WORLD)とは、現実にある都市や社会をデジタルで表現した世界の名称です。現実世界にそっくりなミラーワールドは、鏡に映った鏡像のように感じられ、「鏡像世界=ミラーワールド」と表現されています。
「ウェブ」や「ソーシャルメディア」によって情報と人々がデジタル化された現在、残り全てをデジタル化させるのが、第三の巨大プラットフォームである「ミラーワールド」です。ミラーワールドでは、マシンが全てのものや場所を認識できるようになるなど、本物そっくりの世界を作り出すことができます。
『The Real Thing』の世界観
「The Real Thing」は2018年のカンヌ映画祭で上映された、ドキュメンタリー作品です。フランスと中国、ドイツが共同制作し2018年に公開されました。およそ16分間の映像で、ドキュメンタリーとVR映画が上手に融合された作品となっています。
本編に出てくる「リアルミラーワールド」とは、中国にデジタルでパリやベニス、ロンドンを模倣して作り、その模倣された町で人々が実際に住むことができる世界です。日本には「東武ワールドスクウェア」という世界のさまざまな施設のミニチュアが展示されている施設が存在しますが、本作品は完成度やスケール、本気度の違いが感じられます。建物や橋、公園や木々まで町の風景がそっくり再現されており、リアルミラーワールドは鏡に映し出された世界そのものなのです。
リアルミラーワールドでは、ワールド内で暮らす人々の様子を見ることができます。リアルミラーワールドに作られた偉大なエッフェル塔を警備する少年や、模倣されたパリで飲食店を経営をする女性、ロンドンにそっくりな町並みに住む骨董品店の店主や写真家など。充実した生活を送る人たちが、リアルミラーワールドには存在しているのです。
とはいえ、暮らしているのは全員中国人のため、生活スタイルも中国文化のまま。生活しにくい部分がありながらも一生懸命に取り組む姿は、どこか懐かしくも感じられます。作品の最後では、模倣の世界だったパリやロンドンが、人々によって新たなオリジナルの世界へと進化した様子が描かれていました。
新たな表現への挑戦が見える作品
作品のなかで重要なポイントは、3Dofで体験できる360度の動画です。見事に模倣されたリアルな世界の町並みをぐるりと見渡すことができ、ユーザー自ら不思議な世界を体験できます。
360度移動できるカメラやポジション、さらにポイントクラウド(色などの情報を持つ3次元データ)などを利用して、新しい表現をしている作品だといえるでしょう。
映像体験で実際に旅行に行っているような感覚を味わえるVRで、現実的かつ、模倣されたリアルな世界を体験してみませんか。
進化するVR技術で、よりリアルなバーチャル空間へ
模倣されたパリやベニスの街並みをVRを使って体験することができる「The Real Thing」。中国に作られた世界のさまざまな街並みで暮らす中国人たちを見ることで、不思議な感覚を楽しむことができるでしょう。
カンヌ映画祭で上映され、「NewImages Festival Paris Film Festival 2018」でも賞を受賞した素晴らしい作品を、ぜひ体験してみてください。