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広島からカナダへ。家族の歴史をVRで

リアルな体験で、より強いメッセージを伝えてくれるドキュメンタリ-VR。今回ご紹介するのは、広島からカナダへ移住した家族に関するドキュメンタリーです。

早速、「The Book of Distance」の概要や、見どころを見ていきましょう。

「The Book of Distance」とは

「The Book of Distance」は2020年にドイツで制作された、およそ25分間のドキュメンタリーVRです。モデルとなっているのはこの作品を手掛けた監督の祖父、沖田米三氏。沖田氏は1935年に広島の自宅を離れ、カナダへ移住しました。

1930年代のカナダで沖田氏は戦争や強制収容所、人種差別など、さまざまな過酷な経験をしましたが、3世代に渡りカナダで生活を送ります。そんな様子をドキュメンタリーにまとめたのが、今回のVRです。

シンプルなインタラクションがポイントに

「The Book of Distance」では監督が遊んだ蹄鉄(ていてつ)投げや過去の思い出の写真など、シンプルなインタラクションが各シーンにちりばめられています。カナダへの入国シーンでは、パスポートを手渡され、ハンコが押され、現地へと入国するという疑似体験が可能。

当時の入国審査は現在とは異なるため、なんともいえない緊張感を持つことができるでしょう。強制収容所では体験者が荷物を詰めるという体験があり、当時の社会の様子をリアルに体感できますが、これが作品の重要なポイントにもなるので、体験する際はぜひ注目してみてください。

1930年代を「体験」できるドキュメンタリー

「The Book of Distance」は1930年代の広島、そしてカナダを舞台にした作品です。監督自身もこの時代を生きておらず、体験者も1930年代を生きた方は限りなく少ないといえます。す。

監督は父からの話や残された写真、手紙、記録書類などを元に当時の様子をCGで描きました。監督自身の記憶に残る祖父の歩き方も再現するなど、細かな演出にもこだわっています。

作中では、監督のアバターが案内役として登場しますが、「このときの祖父の気持ちは」「皆さんはどう思いますか」と自問自答や体験者への問いかけをしてくれるので、監督と一緒に1930年代をリアルに旅行しているような気持ちになれるでしょう。

作品の最後には、過去について語りたがらない祖父に向けて、監督が書いた手紙も出てきます。この手紙からも、大きな感動が生まれるのではないでしょうか。

過去へのタイムスリップも実現できるVRでさまざまな体験を

「The Book of Distance」は過去へのタイムスリップのような体験を通し、教科書や学校では教えてくれない隠された歴史を学べる作品です。VRは、ただ体験を客観的に知るだけでなく、当事者目線で見ることができる画期的なツールだといえます。

さまざまなドキュメンタリーVRを通し、多くの方の体験、そして世界に存在するたくさんの歴史に触れていきましょう。

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