さまざまな場面でのVR活用が著しい昨今ですが、今回ご紹介するのは自動車製造にVRを導入した事例です。どのような形でVRが取り入れられ、どういった効果を発揮したのでしょうか。
早速、高級自動車メーカー・ブガッティにおけるVR活用について、解説します。
ブガッティとは
ブガッティは、イタリア出身の技術者が1909年に設立した自動車会社です。1940年代初頭までは、高性能のスポーツカーやレースカーを多数製造していました。同時に、気動車や飛行機の設計を行っていましたが商業的な成績を収めることができず、設立者が1947年に他界。1963年にはフランスの飛行機用エンジン製造業者に吸収され、現在はサフラングループの参加に入り、飛行機のブレーキ・ホイールを作成しています。
「伝説のスポーツカーメーカー」となったブガッティですが、1987年にイタリアの実業家が商標を手に入れたことで、復活プランが発表されました。1991年には「EB110GT」と呼ばれるモデルが発表され、その後もさまざまなモデルを生産・販売しています。
1998年にはフォルクスワーゲンAGが商標権を買い、2000年に「ブガッティ・オトモビル」を公式に設立。現在までに高級自動車を多数発表しています。長く、そして複雑な歴史をもつブガッティは、レースカーから「超高級乗用車」として知られるメーカーへと転身。独特なデザインで人気を集めています。
最新モデルの開発期間は9カ月
開発にあたりVRが使用されたのは、ブガッティの新型ロードスターW16 MISTRALです。最高時速420km、価格500ユーロ(約6.8億円)の夢の高級車は、スタイリッシュななかにさりげない高級感を持たせたボディが、目を引きます。
そんな新作の開発に要した期間は9カ月。同社の5年前の開発期間から比較すると、2割の短縮に成功しています。社内のデザイン・ディレクターからは「粘土を使用した手作業も好きだが、最近のVRデバイスはとても優れているので、きわめて最終製品に近いものまで作れる」と、VRを使用した新製品の開発について語りました。
自動車関連でのVR活用に期待?
新作の開発には、VRだけでなく物理的なモックアップも使用します。しかし、デザインを決める際の時間、リソースは、VRを活用することで大幅な削減に成功。最後は高性能のCADソフトウェアを利用し、原寸大での確認もきるとのことです。
5年前と比較して20%の時間短縮を実現したブガッティですが、実は15年前と比較すると40%もの時間短縮に成功しています。開発、販売、そして保守まで、自動車関連でのVR活用の事例は徐々に増えており、今後も魅力的な活用方法で、自動車関連業の活性化や業務効率化に貢献することが期待されます。
VRでより便利な環境を実現しよう
VRは単に仮想空間での体験を楽しむだけでなく、私たちの暮らしをより便利に、そして快適に楽しくするためのツールとしても活用されています。労働環境においても、研修はもちろん、今回ご紹介した事例のような幅広い業種における多様な用途で、「働きやすさ」実現に貢献してくれるのではないでしょうか。
今後も幅広い用途で、便利な環境のためにVRが活用されることを期待したいですね!メタツアーズのニュースにも、ぜひ注目してください。