VRは仮想空間で非現実的な体験ができるのが魅力です。なかには無くなってしまった場所を再現した空間も存在し、リアルではもう足を運べなくなった思い出のスポットへ気軽に行けるコンテンツは、「歴史の保存」「思い出をリアルに想起させるツール」として人気を集めています。
今回は、営業を終了した「京急油壺マリンパーク」のVRについてご紹介します。
2021年に営業終了!京急油壺マリンパークとは
神奈川県三浦市にある「京急油壺マリンパーク」は、1968年にオープンした民間の水族館です。名前の通り京急グループが経営し、およそ400種類の海の生き物を展示。地元の方々を中心に人気を集めていましたが、建物や設備の老朽化から、2021年9月30日に閉園しました。
1973年には海洋博が開催され、その後もファンタジアムや大回遊水槽、磯の生き物水槽など魅力的な展示を続けてきた京急油壺マリンパーク。開業当初は規模の大きい水族館として知られていましたが、老朽化に加え横浜・八景島シーパラダイス、新江ノ島水族館など県内に競合となる水族館が開業したことで入館者数が落ち込んでしまったことも、閉園の原因となったようです。
2021年12月には、飼育展示をしていたすべての生き物の移動が完了したことを、Twitterの公式アカウントにて報告。2022年1月には、マリンパーク跡地、そして周辺の敷地を「京急油壺温泉キャンプパーク」という新たなアクティビティスポットとしてオープンしました。
装い新たに!VR空間に再オープン
長い歴史のなかで、多くの方に愛された京急油壺マリンパーク。リアルな施設はなくなりましたが、装い新たにVR空間に再オープンすることが発表され、2022年8月に体験を開始しました。
VR空間に再現されたバーチャル水族館は、もともとの施設をまるごとアーカイブ。また、既存の施設にあった展示を再現するだけでなく、最終日に開催されたショーのバーチャル鑑賞、建設当時の貴重な資料や過去のパンフレットなどの展示、クラウドファンディングで支援を行ったユーザーのメッセージの表示など、VRを活用したコンテンツを多数用意しています。
再現されたVRの魅力
バーチャル空間に登場した京急油壺マリンパークは、好きな場所にいながらコンテンツを楽しめるのが最大の魅力です。また、前述の通り、VRならではのコンテンツを多数用意し、ただ過去の建物を見るだけではない、というのも注目すべきポイントです。
VR京急油壺マリンパークは、入場方法がさまざまなのも魅力だといえます。VRゴーグルを利用したVR表示はもちろんブラウザ表示、モバイル表示なども可能で、VRが苦手という方も、バーチャルの世界を楽しめる工夫がされています。
思い出や歴史の新たな保存方法として、VRを活用しよう
今回ご紹介した京急油壺マリンパークのように、VRで過去の建物や施設が再現される機会は増えています。また、過去の出来事を映像として残すことは多々ありますが、VRならよりリアルな映像で、歴史を保存が可能です。
すでに「リアルな資料」としても活用されているVRですが、今後も老朽化などによりなくなっていく多くの建物・施設の保管に貢献するでしょう。歴史あるスポットへいつでも訪れられるVRの登場に、期待したいですね。