「Facebook」からの社名変更や、高性能のヘッドマウントディスプレイの考案・販売など、多くの注目を集めるMeta。今回は、あまりよいとはいえない内容で話題になっているようです。
早速、アメリカで起こっているフィットネス企業買収に関する論争をご紹介します。
VRフィットネス「Supernatural」とは
Metaが企業買収を行おうとしているのは、VRフィットネス「Supernatural」の開発元であるWithinです。そもそもVRフィットネス「Supernatural」とはどういったものなのかを、簡単に解説します。
VRフィットネス「Supernatural」は、一体型VRヘッドセットMeta Quest向けに配信されているVRフィットネスアプリです。サービス提供を開始したのは2020年4月。このアプリではコーチの指導を受けながら、自宅をはじめとした好きな場所でワークアウトができます。
フィットネスジムのように月額サブスクリプション制を導入しており、好きな場所で、継続してフィットネスを楽しめることから、健康に関心のある多くの方々に親しまれています。
米国連邦取引委員会が買収中止を要求
そんなVRフィットネス「Supernatural」を、Metaが企業買収するという発表がされたのは2021年10月。社名変更に伴い、日常を過ごすことになるメタバース構築を宣言していたMetaは、「日常的なアクティビティ」として、フィットネスもあげていました。
そこで、社名変更直後に「Supernatural」を開発したWithinの買収を発表しましたが、2021年末に、米国連邦取引委員会が調査中であるため、買収がされていないことが報じられています。
米国連邦取引委員会がなぜ買収を調査し、中止を求めているのか。理由としては「Metaの「Beat Saber」、Withinの「Supernatural」という主要なVRフィットネスアプリの提供元が統合され、健全な競争を阻害する」とのことです。買収をしなくてもMetaはVRフィットネスアプリの開発ができる、とも判断されており、米国連邦取引委員会は「買収を許せば、(Metaが)メタバースの全てを掌握するという、究極のゴールに一歩近づく」と論じています。
Metaは反対の声明を発表
米国連邦取引委員会の見解に対し、Metaは真っ向から反対する声明を発表。理由にあげられているVRリズムゲーム「Beat Saber」は、Withinの「Supernatural」とはまったく異なる内容であり、ユーザー層も違うこと、また自社がVRエコシステム育成に多くの時間と金額を投資してきたことを説明しています。
多くのプレイヤーが存在し、急成長を遂げるVR業界のなかで、フィットネスアプリを1つ買収することが、競争の妨げになるのか、と疑問を示しており、そもそも米国連邦取引委員会の主張は、事実と法のどちらに照らしても誤っている、と主張しています。
そもそも米国連邦取引委員会は、過去にSNS市場でも、独占禁止法違反の疑いでMetaを提訴しています。今回の訴訟は、メタバース市場にも同委員会の目が光るようになった、ということかもしれません。
メタバース市場のトラブルは今後も増加する?
メタバース市場は急速に拡大・成長しており、今後も多くの企業の参入が期待されています。新たな市場の広がりのなかではよいニュースに目が向きがちですが、規模が拡大するなかでは当然トラブルも起こるでしょう。
今回ご紹介した事例はほんの一部に過ぎませんが、今後もメタバース市場ではさまざまなトラブルが起こる可能性があるといえるでしょう。
私たちが快適に、そして幅広いシーンでメタバースを活用することはもちろん、提供企業におけるトラブルなどもできるだけ少なく、平和な市場であり続けることを願いたいですね。