チケット販売で有名な「ぴあ」が、XRライブを開催したことが話題となっています。人気アニメ「進撃の巨人」の世界観をリアルに再現した迫力ある映像の魅力は、どのような点なのでしょうか。
今回は、「SiM」のXRライブに関する情報を、お届けします。
コロナ禍でチケット販売に大ダメージ
音楽ライブや演劇はもちろん、スポーツ観戦に至るまで、幅広いチケットの流通を支えている「ぴあ」。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、エンタメが「不要不急」とされている昨今、そのダメージが及んでいるのは事実です。
このピンチを乗り越えるため、新たに開始したのがコンテンツ供給です。その1つが、パンクバンド「SiM」の人気曲「The Rumbling」のミュージックビデオ。現実空間と仮想空間を融合させて作られた、ハイクオリティなミュージックビデオの製作を、ぴあが担ったことを知っている方も少ないのではないでしょうか。
配信再生回数1億以上!「進撃の巨人」の主題歌
「The Rumbling」は人気アニメ「進撃の巨人」の主題歌です。2022年1月にこの曲を発表すると、海外を中心に盛り上がり、配信サービスでの再生回数は1億回を超えました。その後、3月にぴあが製作した「進撃の巨人」とコラボしたミュージックビデオを公開すると、こちらもすぐに2500万回の再生回数を突破。
SiMの音楽性はもちろん、アニメの精緻な表現との融合で、魅力的な世界観の表現に成功したのが今回のミュージックビデオ。これをよりリアルに体験してもらおうというコンセプトで、XRライブの開催が決定しました。
ぴあ主催!「SiM」のライブをXRで
ぴあ主催のXRライブのセットリストはなんと4曲。チケット販売価格は3300円です。決して安いとはいえませんが、高額な費用をかけて製作されたため、この価格でも数万人の方に視聴してもらわないとペイできないとのことでした。
9月30日に開催されたXRライブでは、前述の「The Rumbling」を東京都大田区の沿岸部で演奏するSiMの背後に、超大型巨人の大群が出現。巨人がメンバーたちを踏み潰すように迫る様子を、リアルに見ることができます。アニメの世界に入り込み、熱い演奏を行う映像に、息を飲むような迫力がありました。
流通だけでなく創出も!ぴあの今後に期待
ぴあは近年、今回ご紹介した配信ライブのように、企画や主催に関わる機会を増やしています。チケット販売業は1枚あたりの微々たる手数料で収益を得る、まさに「薄利多売」。インターネットでの販売を開始してからは、購入者のみならず販売主からも手数料を徴収するようになりましたが、それでも収益の伸びはわずかでした。
興行主と消費者をつなぐ役割を長年果たしてきたぴあですが、「元締め」に回ることで、新たな収益の場を獲得できるようになりました。イベントは多額の制作費がかかりますが、人気を博せば、大きなリターンを見込めます。
今後も、VRやARを活用した魅力的なコンテンツの製作で、エンタメ業界を盛り上げてくれることを、期待したいですね。