離島をまるごと3D空間化し、すばらしい体験を提供するプロジェクトが発表されました。現地の文化や社会をリアルに体験できることで、私たちはなにを得られるのでしょうか。
今回は、NTTらがスタートしたプロジェクトに関する情報を、お届けします。
舞台は「猫島」として知られる香川県・男木島
四国と本州のあいだには多くの離島がありますが、今回3D化されるのは、香川県にある「男木島(おぎじま)」です。人口は2017年時点で172人、面積は1.34㎢と非常に小さな島で、坂道が多い地形も、特徴だといえます。
また、瀬戸内国際芸術祭の会場の1つとされており、数々の芸術作品があるのも魅力です。そんな男木島は「猫島」とも呼ばれており、およそ60匹の猫が住んでいることでも知られています。特に、男木港から豊玉姫神社のあいだには猫が密集しており、猫好きの方たちが観光に訪れることもたびたびあるようです。
「TENGUN Ogijimaプロジェクト」とは
「TENGUN Ogijimaプロジェクト」は、男木島全体を3D空間化するものです。NTTグループの共同研究チームが、3D点群データ処理技術を活かし、離島をまるごとリアルに体験できるコンテンツを提供します。
このプロジェクトはNTT研究所の技術により空間を構築。また、NTT西日本香川支店が、ICT活用による課題解決シナリオの共創や社会実装を行います。さらに、男木島で活動するNPO男木島生活研究所と、ドローン活用を手がける有限会社ケノヒも協力し、現地実証や実装を支援する方向です。
3D空間構築で期待できる効果は
3D空間では男木島へ行かずとも、リアルに島内での生活を体験できます。現地に住んでいる、足を運んだことがあるという方はもちろん島への愛着がありますが、こうした経験がなくても、3D空間で良質な体験ができれば、その地域への愛着は高まります。
高い没入感で現地の自然や住民と触れ合い、体験者が男木島に興味や親近感を持つことは、「関係人口」増加につながると予想されます。
男木島は人口のおよそ6割が高齢者で、交通や物流に制約があることから、介護や教育などの課題が深刻な地域とされています。そんな男木島を実際に体験することで、一緒に課題解決に向けて考え、行動する方を全国に増やすことが、このプロジェクトの目的の1つだといえるでしょう。
リアルな体験で地域貢献へ
仮想空間でリアルな体験ができれば、その地域について知り、興味を持ち、何かアクションを起こす方も出てきます。今回のプロジェクトが、男木島の活性化や課題解決につながることを、期待したいですね。
実際に足を運ばなくても、男木島の素晴らしさを知ることができる3D空間。完成したらぜひ体験してみてください。