「ロミオとジュリエット」などで知られるイギリスの劇作家、シェイクスピアの作品から「マクベス」が、VR演劇としてVRChatで上演されました。世界的に有名な作品を、アバターたちはどのように演じたのでしょうか。
今回は、11月に上演されたVR演劇「マクベス」に関する情報を、お届けします。
原作はシェイクスピアの「マクベス」
今回のVR演劇の原作は、ウィリアム・シェイクスピアの「マクベス」です。これは1606年頃に書かれた戯曲で、主人公は将軍マクベス。勇猛果敢な一方、臆病な一面も持つマクベスが、妻と共に主君を暗殺する物語です。
見事、暗殺に成功して王位に就いたマクベスですが、徐々にさまざまな重圧に耐えきれなくなり、錯乱。暴政を行い、貴族や王子らの復讐(ふくしゅう)に倒れます。これは、スコットランド王マクベスという実際の王をモデルにした話で、「ハムレット」や「オセロ」「リア王」とともに、シェイクスピアの四大悲劇とされています。
VR演劇「マクベス」の見どころは
伝統的な悲劇をVRChat内でアバターが演じるVR演劇「マクベス」。あらすじは、次のようになっています。
スコットランドの武将マクベスは、荒野の魔女たちから”王になる”と予言を受けました。王殺しの大罪を犯し、高潔な誇りを悪逆に染めたマクベスは、呪いの道を突き進むのでした。
緊迫したシーンも多いこの演劇を、かわいらしいアバターが演じるというのは一風変わった試みです。「仮想空間×アバター」は、ゲームのような世界観も思わせますが、一方で現実にはできない演出も可能です。
古くから多くの役者に演じ続けられている名作が、どのように生まれ変わっているのか、気になるところです。
なお、VR演劇「マクベス」は11月25日、26日に上演され、既に終了しています。YouTubeでは編集版を見ることができるので、ぜひ見てみてはいかがでしょうか。
「役者は3つの人格を宿す」とコメント
今回のVR演劇「マクベス」の演出を務めたぬこぽつさんは、「VRSNSではユーザーに外見の選択肢が存在する」と述べ、しかし「そのアバターのなかに存在するのは、まぎれもなく生身の私たちだ」とも語ります。
そんな生身の人間が、仮想空間で演劇をすることは、HMDを被っている現実の人格と、アバターに身を包んだ仮想現実の人格、そして演劇の登場人物の人格の「3つの人格を宿す」と、マクベスさんは考えるそうです。
そんな3つの人格のなかで、1つのテーマとして「己の欲望のために悪行に手を染めるマクベスという「役の人格」が、「HMDをかぶっている物質現実の人格」と「アバターに身を包む仮想現実の人格」を上回ることができるのか」というのが、このVR演劇の1つの大きなテーマとなっています。
アバターは演劇界に新たな可能性を示せるのか
VR演劇「マクベス」は、アバターが演劇をするという、新たなジャンルが今後どのように発展していくのか、非常に楽しみになる作品になりました。今後、さまざまな名作が美しいアバターによって演じられていくとよいですね。
VR映画、VRアニメーションに続き、「VR演劇」にも注目していきましょう。