中国の浙江省が、メタバースを活用した発展計画を発表しました。既に北京や上海など、メタバースに積極的な地域はあり、中国政府もメタバース産業を重視するなか、浙江省はどういった計画を実施していくのでしょうか。
早速、ご紹介します。
複数企業によるエコシステム構築を目指す
中国の浙江省は華東地区中部の東シナ海に面しています。省都は杭州市で、2020年現在の人口は約1036万人。中国沿海諸省のなかでも最も先進的な省として知られています。特に、省政府が主導する公共インターネット網の整備は非常によいようです。
浙江省には中国の大手テクノロジー企業として知られる「アリババ」の本社もあります。2022年12月15日に発表されたメタバース発展計画によると、2025年までに287億ドル規模となるメタバース産業を創出・誘致し、複数企業によるエコシステムを同省内に構築するとのことです。
メタバース企業の創出へ
今回発表された計画では、2023年から2025年までの2年間の詳細な行動プランが示されています。目標として設定されているのは、強固なサプライチェーンと業界エコシステムの構築、イノベーション環境改善、エンタメ業界でのメタバースアプリケーションや電子取引の促進などさまざまです。
浙江省はこれらの目標を達成するために、「VR、MR、AR、ブロックチェーン、AIにおける専門知識を持つ業界リーダー10社と、関連企業50社を育成する」ことを発表しています。
メタバース発展の裏では批判的な意見も…
世界や日本がそうであるように、中国でもメタバース分野への注目は高まっています。冒頭でも触れたとおり、北京や上海もメタバース発展に向けた行動計画を発表しており、中国政府も国家計画内でメタバース産業を重要産業と位置づけています。
しかし、「経済日報」という国営新聞は2022年11月10日、「メタバース産業は有望に思えるが、すべての地域に適合するとは限らない。現実と乖離(かいり)したまま熱狂的に追随し、大きな賭けに出るのは要注意だ」と、国内のメタバース熱に対する批判的な内容を掲載しました。
アリババ本社のある浙江省の今回の計画は「適合する地域」におけるものだと考えられます。計画の成功は、2年後にわかるのではないでしょうか。
中国のメタバース事情にも注目しよう
中国はメタバースの積極的な活用を、政府も後押ししているような雰囲気がありますが、その一方でメタバース産業への参入に注意を促すような雰囲気もあります。
今後、中国のメタバースがどのように発展するのか、浙江省やその他地域の計画も含め、注目していきたいですね。
メタバースニュースではアメリカやヨーロッパのメタバース関連企業を多くご紹介してきましたが、中国の企業についても触れていきたいと思います。ご期待ください。