企業や国の中枢機関でもVRの活用事例が増えていますが、今回ご紹介するのは、アメリカ宇宙軍でのVR採用に関する話題です。医療訓練にVRを取り入れることで、どういった効果が期待できるのでしょうか。
早速、ご紹介します。
医療能力向上を目的に、訓練にVRを導入
アメリカ宇宙軍は、有人宇宙飛行の不時着に対応する救助部隊が、医療能力をより高めることを目的に、VRによる医療訓練の導入を発表しました。VR医療訓練は、パラレスキュー隊員や戦闘救難士、飛行外科医を対象に実施される予定です。
訓練に使用されるVRヘッドセットは、「VIVE Focus 3」。オールインワンのヘッドセットで、効率的な学習・トレーニングを実現する高度なビジネスアプリケーションを提供してくれます。
170万ドルの投資でソフトウェア開発
VR医療訓練には、「VIVE Focus 3」を用い、さらにSimXの「VALORプログラム」を採用します。SimXは、VR医療シミュレーションプラットフォームの開発・運営を行っている企業で、「VALORプログラム」は同社がアメリカ空軍と共同研究・開発したものです。もととなっているのは、SimXのVR医療シミュレーションシステム(VRMSS)。これを拡張したのが「VALORプログラム」です。
アメリカ宇宙軍は、170万ドルの投資でこのシステムに、さまざまなシナリオを追加。高品質なコンテンツで、軍の医療従事者向けのVRトレーニングを実現します。
ヨーロッパや日本でも採用のVRMSSを活用
SimXのVR医療シミュレーションシステム(VRMSS)は、アメリカ空軍だけでなく、ヨーロッパや日本の軍事施設でも採用されています。さまざまな国で活用されるVRMSSが、アメリカ宇宙軍においてどのように役立っていくのか、注目したいところです。
アメリカ国防総省有人宇宙戦闘支援室のBrent Maney氏は、今回のVR訓練導入について、「有人宇宙飛行の不時着に対応する、グローバルな救助部隊の医療能力を全体的に高めることが、、このプロジェクトのミッション。こうした能力は有人宇宙飛行の継続的な拡大に備えて、最高水準の医療を提供するために不可欠だ」とコメント。VRによる訓練の効果が、軍にとっていかに重要であるかがわかるでしょう。
ちなみに、アメリカ宇宙軍では隊員向けにもVRトレーニングを採用しており、VRの積極的な導入がうかがえます。
進化するVRを、さまざまな場面で
VRは日々進化を遂げており、活用の幅も広がっています。国にとって重要な役割を担う機関でVRが積極的に導入されていけば、VRトレーニングの効果についても、より信頼を得られるでしょう。
さまざまなシーンで導入されるVRに、ぜひ注目してみてください。