NASA(アメリカ航空宇宙局)は、VRやAIを宇宙研究に活用していることを明らかにしました。新技術により、宇宙研究も進歩していくのでしょうか。
今回は、NASAの研究やVR・AI活用の取り組みについてご紹介します。
平面画像から構築した火星メタバース
NASAは、火星探査で得た画像データからバーチャル空間を構築し、地球にいながら、火星にいるかのような体験を実現しています。宇宙探査では、パノラマ写真などの平面画像データが得られます。NASAの研究者たちは、長年、データ改善に取り組んできましたが、平面画像だけでの調査にはやはり限界があります。
そこで、パノラマ写真を元に、VRヘッドセットで体験できるバーチャル空間を構築。宇宙研究に活用するようになりました。地質学者はVR体験を通し、「火星上の物体サイズや位置関係を実感し、新たな研究アイデアを得た」とコメントしています。
AI技術でデータ解析も
アメリカ・南カリフォルニアのNASAの研究所では、バーチャル空間での体験・宇宙研究を発展させるため、カリフォルニア工科大学と共同で、新たなソフトウェアを開発しました。3DビジュアライゼーションとAI技術を組み合わせたソフトウェアは、大量のデータの関係を可視化できるものです。
複数のVRヘッドセットとの互換性もあるため、バーチャル空間とパソコン画面の両方でのデータ解析ができます。AIやVRなど、昨今注目の新技術を活用することで、研究が急速に発展することも、予想されています。
責任者のコメントは?
NASAの研究所で、人間中心設計グループの責任者を務めるScott Davidoff氏は、「渓谷の写真を見るのと、渓谷を歩くのとでは、体験に大きな差異がある」と、宇宙のパノラマ写真とVRの違いを形容します。そして、「研究者が平面データよりも明確に、パターンと相関関係を確認し、科学や工学の問題を観察できるデータ空間を作った」と、VR空間やソフトウェアについてコメントしました。
開発されたソフトウェアは、銀行や流通、医療研究など、幅広い分野で使用されています。
VRで宇宙研究も進歩なるか
NASAでは以前にも、火星での船外活動向けVRシミュレーションを開発するなど、VRの活用に積極的です。バーチャル空間の構築により、宇宙研究は今後さらに発展することが期待されます。
NASAの今後の活動、宇宙に関する新たな発見やニュースにも、注目していきましょう。