順天堂大学は、日本IBMとともに、メタバース面会アプリをリリースしました。「よりぬくもりのある面会」を支援するために制作されたアプリを使い、小児患者向けの臨床研究も始まっています。
今回は、「Medical Meetup」についてご紹介します。
メタバース面会アプリ「Medical Meetup」
「Medical Meetup」は、2023年7月31日に順天堂大学と日本IBMがリリースしたiOS向けアプリです。親しい方との面会は、入院患者にとってストレス軽減や気力の回復のために欠かせません。しかし、時間制限や訪問制限、感染症の影響などもあり、気軽に面会ができないケースもあります。
電話やオンラインツールを活用したビデオ通話などの方法もありますが、対面と比べると「ぬくもり」に欠ける部分があったと、日本IBMは分析します。
そこで開発したのが、メタバースで面会できるスマホアプリです。「Medical Meetup」は、リゾート施設などの非日常的な空間で、リラックスした面会を実現します。
順天堂大学と日本IBMが共同開発
「Medical Meetup」の開発は、順天堂大学と日本IBMが共同で行いました。順天堂大学は、これまでにも医療用VRや医療教育コンテンツの開発・提供で注目を集めています。そして、2022年4月からは、日本IBMとともに「順天堂バーチャルホスピタル」を起点とした新サービスの開発・提供を目標に、共同研究も開始しました。
「順天堂バーチャルホスピタル」は7月にアバターを増やすなど、機能の改善が進んでいます。
動作を交えたコミュニケーションで「ぬくもり」を提供
非日常的な空間で、疑似的なお出かけやふれあいが楽しめる、「Medical Meetup」。アバターを用いるため、相手の実際の顔が見えませんが、美しい景色のなかでは面会だけでなく、動物とのふれあいや気球に乗るなどのアクティビティも体験できます。
UIデザインは、患者の心身に配慮されており、アバター操作のためのコントローラーの位置などのカスタマイズも可能です。音声通話やテキストチャット、動作を用いたコミュニケーションで、多くの方が充実した面会時間を過ごせるでしょう。
医療現場での活用に期待!
「Medical Meetup」は、8月1日より、順天堂大学の附属病院で小児患者とその家族を対象に、臨床研究をスタートしています。バーチャル空間での面会を目的に開発されたアプリですが、研究結果などによっては、講演会や遠隔診療、コミュニティへの応用も検討されるようです。
「Medical Meetup」が医療現場で幅広く活用され、多くの患者がより快適な入院生活を送れることに、期待しましょう。