VRドキュメンタリーは、高い没入感を実現することでより当事者の気持ちに共感できたり、知らない世界に足を踏み入れたりしたような体験ができます。今回ご紹介するVRドキュメンタリーは、50日で南極大陸を横断した1人の男性に焦点を当てたものです。
VRドキュメンタリーの概要や作品の魅力は、どこにあるのでしょうか。
MatthieuTordeurさんの経歴
作品をご紹介する前に、南極横断を果たしたマチュー・トドワーさんについて少しご紹介します。フランス人のMatthieuTordeurさんは1991年生まれの冒険家です。探検家のラナルフ・ファインズやベン・サンダースなどの影響を受け、「彼らと同じようなことができないかと思い実行した」と、南極横断を決意しました。
彼はおよそ50日をかけ、たった1人で南極を横断。27歳40日という若さで南極点に到達したとして、ギネス世界記録「最年少南極点無補給単独徒歩到達」に認定されました。このとき、マチューさんは犬や帆を使用せず、最後までスキーで進んだそうです。
「SOLO TO THE SOUTH POLE」とは
マイナス50度の世界を、たった1人で歩き続けたマチューさん。その挑戦の過酷さや孤独感は、計り知れないものがあります。2020年に制作されたVRドキュメンタリー「SOLO TO THE SOUTH POLE」では、マチューさんの挑戦を近くで見ることができます。
マチューさんが歩いたり、テントのなかで生活したりするシーンが交互に展開されるなか、マチューさんのヒゲが伸びる、凍傷が増える、徐々に痩せていく姿から、南極横断の大変さや、時間の流れを感じ取ることができるでしょう。
作品のみどころ
作品内ではマチューさんが持ち歩く大量の荷物が、本人を取り囲むように並べられます。どんな大きさなのか、どれくらいの量なのかが具体的に想像がつきやすい演出となっており、マチューさんが1人で荷物を運びながら歩くことの大変さをより実感できます。
また、小さなテント内で日々のマチューさんの姿を見ることで、その変化がより鮮明にわかるのも、演出の工夫だと言えるのではないでしょうか。
冒険家に焦点を当てたドキュメンタリーではありますが、南極の様子を見ることができるのも、VR映像の醍醐味だと言えます。晴れているときには青空と雪の積もる地上のコントラストが美しく、感動すら覚えます。しかし、吹雪のなかを歩く際はどこに視点を変えても一面真っ白。そんななかを歩く恐怖や不安感を、当事者目線で体験することが可能です。
美しい映像で南極を感じよう
生きているうちに南極を訪れることができる人、南極横断ができる人は、世界中探しても一握りです。現実にはなかなか足を運べない南極には、私たちの知らない世界が広がっています。
美しい映像を360度好きな視点で見ることで、南極をよりリアルに感じることができるのではないでしょうか。マチューさんと共に、南極横断の感覚を味わいながら、その映像美も存分に堪能してくださいね。