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新感覚の体験が魅力の「Wolves in the Walls」とは?

VRドキュメンタリーやアニメーションは日々生み出されており、VR作品を対象とした動画賞も次々登場しています。今回ご紹介する2019年にエミー賞を受賞し注目を浴びたVRアニメーション「Wolves in the Walls」は、従来のVR作品とはひと味違う体験をすることが可能です。

「Wolves in the Walls」の魅力を引き立てる演出や技術について、詳しく見ていきましょう。

「Wolves in the Walls」とは

「Wolves in the Walls」は、アメリカで制作されたVRアニメーションです。主人公は8歳の女の子で、彼女は自宅の壁のなかにオオカミがいるといいますが、家族は彼女が言うことを信じません。

体験者はこの少女の友人となり、オオカミの存在を証明するための証拠を集めたり、家族を危険から守る手助けをしたりします。

このVRアニメーションでは、冒頭のチュートリアルが重要な役割を果たします。作品のはじめには、世界観やルールを理解するためのチュートリアルがあります。体験者がVR空間にチョークで描かれる懐中電灯を持ち辺りを照らすと、タイトルクレジットなどが浮かび上がります。

360度を見渡す物語であること、イメージを形にする作品であることを、言葉がなくてもわかりやすく伝えてくれるチュートリアルだといえるのではないでしょうか。

VR技術を活用した演出が面白い

「Wolves in the Walls」の素晴らしい演出の秘密は、VR技術の活用にあります。VRペイントアプリを使用した映像や空間音響はもちろん、体験者がストーリーに巻き込まれていくのは、VRだからこそ実現できる演出・体験です。

コップを壁に当てて壁の向こうの音を聞く、チョークをもって落書きする、インスタントカメラでオオカミを撮影するなど、体験者は物語のなかで多くの作業をすることができます。こうした作業を通し、物語の世界観にどんどん入り込んでいくのです。

AIキャラがより高い没入感を実現

高い没入感を実現するもう1つの要素は、AIキャラクターの行動です。従来のVR映像では、キャラクターはプログラミングされた動きのみを実行します。しかし、この作品の主人公である少女は、AIを駆使したキャラクターで、体験者の行動に対応することができるのです。

体験者が空間のどこにいても少女が目を合わせてくれるなど、本当に少女とコミュニケーションを取っているような気分を味わえます。

また、物語のなかでオオカミから逃げるシーンでは、少女が体験者に手を差し伸べます。この手を取ると少女が体験者の手を握り返してくれるのですが、その感覚が物語における体験者の存在をより濃いものにしてくれます。

「Wolves in the Walls」は今後VRの世界を超え、現実世界でも少女とのコミュニケーションを可能としていく構想を発表しています。彼女との物語はまだ終わらず、より実体験に近い感覚を体験者に植え付けてくれるのではないでしょうか。

物語の主人公となってVRの世界を楽しもう

VRは映画のようにただ「見る」だけでなく、体験者が物語のもう1人の主人公となって楽しめる魅力的なツールです。特に空間内での自由度の高い今回ご紹介したような作品は、より高い没入体験を実現してくれるでしょう。

さまざまなVR作品でVRの魅力を感じ、今後ますます進歩するVR技術を活用していけるとよいですね。

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