「XRクリエイティブアワード 2022」の受賞作品が、2022年12月に発表されました。数々の優秀なクリエイターによる作品が並ぶなか、大賞を受賞したのは、大学生によるAR作品でした。
今回は、大賞作品、またその他の受賞作品について、ご紹介します。
「XRクリエイティブアワード 2022」とは
「XRクリエイティブアワード 2022」は、一般社団法人XRコンソーシアムが主催する、XR作品に関するアワードです。未来のVR・AR業界をけん引する作品やクリエイターを発掘すること、そしてクリエイターたちの活動の支援を目的としています。
8回目の開催となった2022年のテーマは、「 なんでもつくろう」。作品の審査には、VRやAR、アカデミア、テクノロジー、アートなどの第一線で活躍する、XRコンソーシアムの理事に加え、ゲスト審査員も関わりました。
「XRクリエイティブアワード 2022」に応募されたのは、85作品。法人・個人・学生の3部門に分けて募集を行い、大賞1作品、各部門賞3作品が選ばれました。
大賞は学生作品・ARコミック「壁」
「XRクリエイティブアワード 2022」で大賞を受賞したのは、情報科学芸術大学院大学に通う今谷真太郎さんによるARコミック「壁」という作品でした。これはARで漫画が読めるという作品で、ARがさらに普及した未来を創造して制作されています。
体験者が歩いて移動することで、ストーリーが進行。体験者の時間進行と作中の時間進行がリンクしてコマ割りが表現されるという、ユニークな作品です。
実際に体験している風景と、どういった形で映像が映し出されるかを検証した動画を見ていると、歩きながら持ったスマホを向けた壁やガラスなどに、漫画のイラストが大きく映し出されます。
壁などから飛び出してくるような演出、既出のキャラクターの後ろに立っている登場人物が現われる立体感などもあり、2次元で漫画を読んでいるよりも、臨場感を持って楽しめるのではないでしょうか。
その他、3作品が受賞
このほか、法人・個人・学生の3部門の3作品の受賞も発表されました。法人部門は株式会社レベルエンターによる、「BLOCKVROCK」。自分だけのVR空間やARアプリ、3Dコミュニケーション空間などを簡単に作れる、プログラミングアプリです。
個人部門は天雲陽、清水岳によるXRクラブイベント「シュッとしとるヤツ」。コロナ禍をきっかけに始まった、フィジカルとバーチャルの交錯をテーマとしたクラブイベントで、京都に実際にある老舗のクラブと、VRChatのバーチャル空間をつなぎながら、同時にイベントを開催したものです。
そして、学生部門は、古屋市立大学大学院芸術工学研究科の今井健人さんによる「XRAYHEAD」。展示者の手が体験者の頭部表面に侵入し、頭蓋骨に直接触れられているような体験を実現した、インタラクション作品です。
なお、授賞式は12月23日、「XR Kaigi会場」内のステージにて開催され、YouTubeでアーカイブ配信されています。受賞者の作品の視聴もできるので、ぜひYouTubeもチェックしてみてください。
ARも負けていない!さまざまな作品を楽しもう
「XR」といってもVRの存在感が強く、ARはまだまだ活用が弱いイメージでした。しかし、今回ご紹介した「XRクリエイティブアワード」では、AR作品が大賞を受賞しており、ARの進歩や今後の可能性に期待できます。
さまざまなAR作品やコンテンツで、現実がよりよくなる時代も、近いかもしれません。