メタバースやVTuberというと、若者世代を中心とした媒体というイメージも強いのですが、後期高齢者のVTuberが存在することをご存じでしょうか。後期高齢者のVtuber「メタばあちゃん」は、平均年齢80歳のおばあちゃん達によるアイドルグループです。
『婆ちゃるアイドル』たちはメタバースを通して、どのような活動を行っているのでしょうか。今回は「メタばあちゃん」の活動についてご紹介します。
平均年齢80歳の「婆ちゃるアイドル」始動
「メタばあちゃん」は、バーチャルコンテンツ制作支援などを行っているOTAGROUPによるプロジェクトです。3月2日にプロジェクトを設立し、「婆ちゃるアイドル」グループをデビューさせました。
後期高齢者のVtuberとして活動し始めた「婆ちゃるアイドル」は、「元気があり余っているユニークなおばあちゃんたち」を集め、バーチャルの世界で人気アイドルへと進むプロジェクトです。YouTubeチャンネルの登録者数もすでに4万人を突破しており、いま話題のVtuberだといえるでしょう。今回デビューするVtuberグループ「メタばあちゃん」のメンバーは、平均年齢80歳の後期高齢者3名で、以前から活動している0期生を合わせると合計4名となります。
85歳の0期生「ひろこさん」は2022年12月より活動しており、週刊朝日「今年“跳ねる”100人の主役」に選出されたこともありました。このように大きな話題となった「メタばあちゃん」がさらにパワーアップし、「婆ちゃるアイドル」としてYouTuberやバーチャル空間を盛り上げてくれることが期待されます。
オーディションで選ばれた3人がデビュー
「メタばあちゃん」のメンバーになるには、あらゆる条件をクリアする必要があります。オーディションには60名の応募があり、そのなかから「ハマコさん(83歳)」「はなえさん(80歳)」「かおるさん(75歳)」が加入しました。
オーディション参加募集は2023年1月11日(水)まで行われ、「75歳以上」「女性」「日本在住」といった条件に当てはまる方を対象としていました。また、「認知症の診断を受けていない方」といった、一般的なアイドルオーディションでは耳にしない条件も提示されていたほか、「歌が上手」「一発芸を持っている」「パワフル」「ご家族が活動をサポートできる」といった条件もあったようです。
今回オーディションに合格し、1期生としてメンバーになった3名のメタばあちゃんは、3月3日よりYouTubeで順次動画も公開。個性的な自己紹介を、見ることができます。
会員番号1番の「ハマコさん」は、横浜生まれ横浜育ちの生粋のハマっ子で、アイドルになることが昔からの夢でした。そのため若い頃はアイドルオーディションを受けにいくなど、積極的に行動していたそうです。今回メタバース空間では、70歳から始めたジャズを披露してくれるようです。
会員番号2番の「はなえさん」は、埼玉県で生まれ育ち、縫製所の元社長という経歴の持ち主です。その座を継承者へ渡したのちは、カラオケスナック店の経営に回るなど、人生経験豊富な様子が覗(うかが)えます。さらにカラオケ通いから野菜作り、ポケモンGOなども趣味としており、好奇心と継続力を兼ね備えています。そんなはなえさんは大きな病を何度も乗り越えたこともあり、メタバースを通して、これまでの経験をあらゆる人に伝えていきたいとも考えているようです。
会員番号3番の「かおるさん」は福島出身で、メンバーの中で最年少です。ビューティーアドバイザーとしても現役で活躍しており、カラオケが好きなことから、さまざまなカラオケ大会に出場し全国ファイナリストにもなった経験も。趣味は温泉めぐりで、自宅では愛猫と共に暮らしています。
活動方針は3つ!
メタばあちゃんプロジェクトでは「元気なうちに引退」「おばあちゃんの体調最優先」「家族と楽しく活動」の3つの活動方針を掲げています。元気があり余っているユニークなおばあちゃんたちではありますが、やはり後期高齢者には変わりありません。
活動方針もおばあちゃん目線で、日々の生活や家族との関係を最優先にしているのも、若い世代のアイドルと異なる部分ではないでしょうか。ぜひ健康で楽しく、長期間の活動を行い、多くの方に後期高齢者アイドルにしか伝えられないメッセージを、発信していただきたいですね。
高齢者のバーチャル活用の事例となるか
平均年齢80歳、後期高齢者によるアイドルグループ「メタばあちゃん」が始動しました。0期生1名と、今回オーディションを勝ち抜いた3名、計4名のバーチャルアイドルは、さまざまな人生経験を活かし、メタバースを通してどんな人生相談やアドバイスを行ってくれるのか、期待が膨らみます。
「メタばあちゃん」の動画や「婆ちゃるアイドル」の活動は、何歳からでも挑戦できることを証明してくれています。今後、高齢者によるバーチャル活用がさらに発展することにも、貢献してくれるのではないでしょうか。